第70話 畿内ヤマト説はあり得ない!
魏志倭人伝はもともと三国志の中の一部分です。三国志は魏書30巻、呉書20巻、蜀書15巻の計65巻からできていて、魏書の第30巻のうちの一部分1985文字を、通称『魏志倭人伝』と読んでいます。陳寿は三国志を49歳から53歳までの間にまとめて本に書き上げました。おそらく竹簡に書いたのだと思います。 三国志には間違いと思われる文字が存在していて、その間違いは本文にはあまりなくて、 国名や人名などの固有名詞、つまり借字部分に多く存在しています。これを覚えておかれるといいと思います。 魏志倭人伝には「邪馬壹国」と書いてるけれども、ほかの正史になんとあるかと調べたら、こうなってます。魏志倭人伝では「邪馬壹国」ですけれども、その元になった『魏志』では耶と臺の字があり、「耶馬臺国」と書いてあります。それから『梁書』、これも「祁馬臺国」です。それから『後漢書』、これも「邪馬臺国」です。『随書』は「邪馬臺」です。『広志』は「邪馬嘉国」で、嘉に変わるけど、この嘉はおそらく草書体の読み間違いです。 それから考えると、邪と耶と祁のどれにも誤読をするのは、正字が耶の時だけです。また、壹と臺とが、いずれにも誤読するのは正字が臺の時だけです。それから行くと、耶が正しくて、臺が正字であるならば、女王の都の名前は「耶馬臺国」というのが正しいということになります。 借字は今まで音読みで読んでいる方が多いけれども、音読みは呉音、漢音、唐音がもともと根本になっていて、その発音で読まれているということです。「呉音」というのはどういう発音かというと、王仁博士が千字文と論語を日本に持ってきた。その時に日本に読み方を一緒に持ち込んだ。その時の読み方が呉音。 「漢音」というのは何かというと、漢音は遣隋使とか遣唐使が中国に渡って経典を持ち帰ってきます。その経典を持ち帰ってきたときに、その経典の読み方も一緒に持ち帰ってくる。その時の読み方が漢音。 「唐音」というのは何かというと、これは仏教の中でも禅宗の人たちは発音が独特の発音をする。その禅宗の人たちが経典を読むときの読み方、それが唐音というふうに言われています。 ならば、中国の人たちは本当にそういう読み方をしているのかというと、全然違うのです。「ナム」と読む人と「ナモ」と読む人と「ナン」と読む人と3種類あります。ナマンダブと発音する人、ナムアミダブツという人、ナモアミダブツという人の3種類います。つまり、「ナムアミ」、「ナモアミ」、「ナンマン」と三つの発音があります。 それと同じように、例えば中華人民と書いてある時に、日本人は「チュウカジンミン」と発音します。これが正しい読み方だと思ってます。音読みではこう書きますから、こう読みますから。ところが中国人はこんなに読みません。「中」はチュウではない、これはチョンです。「華」はカではないです、ファです。「人」はジンではないです、これレンです。「民」のミンは一緒です。つまり、「チョンファレンミン」です。現在も中国人はこの読み方です。それから、「華」のカの発音がファになってるから、「化」もファです。「花」もファです。要するに、カの発音がファに変わってるということです。華の字だけがファと読んで、花の字が別の読み方をするのではなくて、「カ」の発音だと日本に伝わったのは、もともとは「ファ」ということです。そういうふうに覚えておくといいと思います。 だから中国語の発音で読まなければいけません。なぜかというと、中国人が書いた本ですから。『三国志』とか『魏志倭人伝』は陳寿が書いたのですから。陳寿は日本人ではないです、中国人ですから。また、もともと陳寿はその前に書かれていたものを書き写したのですから、その前のもの、つまり『魏志』とか『魏略』を書いた人も中国人です。だからみんな中国語の発音で書いているということです。だから借字を音読みで読んではいけないのです。音読みはあくまでも日本語の発音です。だから魏志倭人伝の借字を読むならば、音読みで読まずに中国音韻で読まなければいけないのです。中国語の発音で、それはもう分かりますよね、中国人が書いたものだから、中国語の発音で読まなければいけないというのは、当たり前のことですから。 だから、その中国語の発音の中でどの時代のものを使うかということが問題になります。けれども中国というのは土地が広くて、しかも民族が百いくつで、民族ごとに発音がもともと違うで、中国は日本と違っています。日本はもう原則的には単一民族で、ずっと昔から現在まで来ているわけです。ところが中国というのは、夏 殷 周 秦 漢 隋 唐 宋 元 明 清と、大きなものだけでも、これだけ王朝が変わっていってるわけです。こういうふうに変わっていったのは、何が変わったのかというと、民族が変わってる、支配民族が。 まず殷の王とか殷の民族が支配していたころを、次の周の王様が殷の王様の首をはねる、そして支配権を乗っ取るわけです。そしたら今度は秦の始皇帝が、周の王様の首をはねる、そして始皇帝が秦の国で中国を統一しようとする。ところがわずか20何年間で秦は終わってしまう。そして次に漢が起こる。しかし前漢の王様が王莽から〇され、そこで一度その前漢が途絶えるけれども、また王莽はわずか五年程で次の後漢に変わる。そういう風になって変わっていく。だから絶えず次の民族が前の民族を滅ぼして、王様を〇して、民族を滅ぼして、次の王朝を作っていくのです。それが中国の歴史です。 そういう風にして民族が変わっていくのと一緒に、どうしても発音も変わっていく。支配民族が自分の言語を使わせようとするから、前の王様の使っていた言語などを使わせたら いつ反乱が起こるかわからないから、だからもう『前の言葉は使うな』と、『今からは自分たちの民族の発音を使え』と言って言語を変えさせるのです。そういうふうになっていってるから、言語も時代とともにどんどん移り変わっていってます。 だから何が大切かというと、陳寿の三国志が書き上がったのが西暦285年。でも陳寿は元あった本を書き写してますから、元本がすでにあったわけです。だから元本は285年よりももっと古い時代、260年~270年くらいに書かれていたものですから、要するに西暦285年よりも前の発音、つまり285年よりも前に支配していた民族の言語を主に扱った方がいいと思います。そういうふうにして読んでいけば、より正解に近い発音がわかる。そういうふうにして読んでいくということが大事だと思います。 そうすると、要するに「臺」の字を「台」と同じと考えて、邪馬台国の読みを「ヤマタイ国」と呼んだ。そして「タ」と「ト」の発音が似通っているとして、大和朝廷との関係を強調して、そして畿内にあったんだよというようにして作り上げた、江戸時代に作り上げられた大和説ですね畿内説、これは要するに間違いということがもうここではっきりわかると思います。 これは江戸時代に新井白石とか本居宣長が、間違いを犯してしまったんです。要するに、借字を読む言語を間違えてしまった。それと、「臺」の字と新字体の「台」が同じ字だと考えて、それを入れ替えてしまった。そのことから大和説が出てきてしまった。 だから、それがそもそも間違いだったよということがわかると思います。現在の臺と台は同じであるけれども、昔は違うんです。説文解字という中国の文字の字典ですけれども、これには、旧字体の「臺」と新字体の「台」は成り立ちが異なり、全くの別字であると書いてあります。この二文字は元来別音韻であるということがわかると思います。 文字の発音というのは、部首とか辺と旁とか、そういうところから発音が成り立ってますから、だから、文字の成り立ち、構成要素が違うということは発音も変わるということなんです。それを考えておくといいと思います。 だから、旧字体の臺は「d」音、新字体の台は「t」音で全く異なっています。だから、 この旧字体の「臺」が借字であることから考えれば、「台」の字で代用すること自体、これが誤りなのです。やってはいけないこと。それを本居宣長とか新井白石が江戸時代にやってしまったということ。 それを正しく読むためには、「t」音を採用して「ヤマタイ」と呼ぶのは誤りであって、旧字体の方の「d」音を採用しなければいけない。そしてしかも借字であるから、音韻の韻は発音してはいけない。そういうことになると、「ヤマタ」とか「ヤマト」という発音がありえない。そうなると、これを大和朝廷と結びつけて、大和説に結びつけようとする畿内説、これ自体が、ありえないものだということが、間違いの説だということが、もうはっきり分かると思います。 だったら、どう呼んだらいいのか。「t」音で呼んじゃダメです。「d」音で呼んでくださいねということです。それから、音韻の韻の部分は絶対発音しないようにということです。そうでないならば、「伊」をここに挟まなければいけない。これを挟んでないということは 「イ」は発音しないということです。そうすると、この読み方は「ヤマダ」ということがはっきり分かると思います。だから女王の都とするところは、これは邪馬壹じゃなくて、耶馬臺だったということです。「ヤマダ」は女王の都とするところということが書いてたということです。

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