朗読 銭形平次捕物控【たぬき囃子】 ナレーター七味春五郎 「娘を変える愛と欲」発行元丸竹書房
◆あらすじ 本所で相次ぐ押込み強盗。 狙われるのは大店ばかり、雨戸は鋸で切り破られ、犯行の夜には必ず不気味な「狸囃子」が聞こえるという。 本所の御用聞・石原利助は病に倒れ、面目丸つぶれの危機。 その娘・お品は、父を救うため神田の銭形平次を訪ねる。 縄張違いを承知で本所へ向かった平次は、奇妙な雨戸の鋸目と、狸囃子の聞こえ方に目をつける。 果たして、狸の正体は本当に物の怪なのか。 そして平次が仕掛けた「狸狩り」の真意とは――。 怪談の皮をかぶった本格捕物。 平次の推理と粋な情けが光る一席です。 ◆登場人物一覧 銭形平次 神田明神下の御用聞。縄張違いの本所の事件には遠慮していたが、お品の願いを受け、陰から事件の真相を探る。推理力だけでなく、手柄を他人に譲る度量が見どころ。 八五郎 平次の子分。通称ガラッ八。冒頭では本所の泥棒騒ぎを平次に持ちかける。今回も平次に叱られ、からかわれながら、探索に付き従う。 お静 平次の女房。作中では出番は多くないが、お品が平次宅を訪ねた際に名前が出る。平次の家庭的な空気を支える存在。 お品 本所の御用聞・石原利助の娘。二十二、三歳の若後家。父の窮地を救うため、親に隠れて平次を訪ねる。しっかり者で、事件解決にも重要な役割を担う。 石原利助 本所の御用聞。平次とは張り合うこともある古顔の岡っ引。連続押込み事件の解決に苦しみ、病に倒れる。最終的には平次の計らいで面目を保つ。 井筒屋清兵衛 番場町の両替商。六軒目の被害者。押込みに入られた際、犯人に斬られて命を落とす。 井筒屋の番頭 平次に事件当夜の様子を語る。狸囃子によって眠れず、暁方に寝入ったため、雨戸を切る音に気づかなかったと証言する。 お紺 原庭に住む金貸しの後家。表向きは被害者の一人だが、実は事件の中心人物。自宅も被害に遭ったように見せかけていた。 嘉七 お紺の家にいる手代。武家上がりで腕が立つ。実行犯として押込みを働き、井筒屋清兵衛を斬った張本人。 お松 お紺の家の下女。事件に関与して縛られる。 笛辰 押上の笛吹き。大法寺の経蔵で狸囃子を演奏し、犯行を助けていた。 三吉 笛辰の弟子。太鼓の上手。笛辰とともに狸囃子の音を作り出していた。 笹野新三郎 与力。事件解決後、石原利助の働きを評価する。平次の陰の働きは表向きには伏せられる。 ◆用語集 狸囃子 本所七不思議の一つとして知られる怪異。どこからともなく太鼓や笛の音が聞こえ、近いようで遠く、方角も定まらないという。作中ではこの怪異が、犯人たちの目くらましとして使われる。 本所七不思議 江戸本所に伝わる怪談・不思議話の総称。狸囃子、送り提灯、片葉の葦などが知られる。今回の物語では、その土地の伝承が犯罪の仕掛けとして利用される。 御用聞 江戸時代、町奉行所の同心に協力して犯罪捜査にあたった民間の者。岡っ引ともいう。平次や石原利助がこれにあたる。 十手捕縄 御用聞や同心が用いた捕物道具。十手は犯人を取り押さえる道具、捕縄は縛るための縄。作中では御用聞としての権威や面目を象徴する言葉として使われる。 縄張 御用聞が担当する地域。平次は神田、石原利助は本所という縄張を持っており、平次は本所の事件に直接乗り込むことを遠慮している。 押込み 家や店に押し入って金品を奪う強盗。今回の事件では大店ばかりが狙われる。 雨戸 夜間に家の外側を閉める木製の戸。犯人は雨戸に鋸で穴を開け、輪鍵や桟を外して侵入する。 輪鍵 雨戸などを内側から留めるための金具。犯人は雨戸に穴を開けてこれを外していた。 寅刻 現在の午前四時頃。井筒屋の事件では、暁方の寅刻過ぎに犯行が発覚する。 戌刻 現在の午後八時頃。石原利助の家で平次たちが狸囃子を聞く場面に出てくる。 経蔵 寺で経典を納める建物。作中では無住の荒寺・大法寺の経蔵が、狸囃子の音を響かせる仕掛けの場所になっている。 馬鹿囃子 祭礼などで演奏される賑やかな囃子。作中の狸囃子は、太鼓と笛による馬鹿囃子そっくりの音として描かれる。 絵本太閤記 豊臣秀吉の出世物語を描いた読み物。犯人の嘉七は、日吉丸が蜂須賀小六のところから刀を盗む逸話に着想を得たと語る。

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