明日の朝が来るまでは

脱ぎ捨てた制服をハンガーに掛けて うなりを上げる洗濯機を見つめてる 慣れないこの街の匂いにも 少しは慣れたきたつもりでいる 支給された重たい靴を履いて 正義だとか 守るべきものだとか そんな大層なものを背負っては 今日も街を歩いている 誰かの喧嘩を止めたり 迷子の手を引いたりしながら 本当に引き止めたい手は ここにはないんだと気付いてしまう 君がくれた「頑張って」の5文字が この胸の奥でまだ燻(くす)ぶっている 不審なものは何一つないはずの夜に 泣きそうになっている情けない僕を この街の誰も知らない 守りたいものなんて大袈裟な言葉より まずは自分の足元を確かめて 明日もまた この制服を着て 君に胸を張れる僕でいるために 僕はここで生きていく あてがわれただけの愛想のない部屋 パイプベッドに深く腰掛けて テレビから流れる賑やかな声が 余計に壁の薄さを引き立てた 実家からの荷物 手紙の最後の一行に 「無理はしないでね」と書かれていて 情けなくて 嬉しくて また少し 視界が滲んだ 格好いいヒーローにはなれなくても 君が誇れる僕でいたいから 鉄格子のない窓から見える東京の空は 狭くて 遠くて でも確かに繋がっているんだ 「そっちの暮らしには慣れた?」 既読のついた画面を閉じる 弱音を吐き出せるほど 僕はもう 子供じゃないから 君がくれた「頑張って」の5文字を お守りのようにポケットに忍ばせて 信号機が青に変わるその一瞬に ほんの少しだけ強く踏み出すんだ 寂しさに足を止めそうになっても この街の夜を 僕は守り続ける 君のいる場所へと 続くこの道を 明日の朝が 来るまでは 明日の朝が 来るまでは…