毎月2万円足りない。その事実を知った日から、老後の不安が少し軽くなりました
年金が振り込まれた日の朝。 六十七歳の山本恵子さんは、郵便局から帰ると、いつもの食卓の前に座りました。 神奈川県郊外の少し古い団地で、ひとり暮らし。 夫を見送ってから、今年で四年になります。 食卓の上には、記帳したばかりの通帳。 電気料金とガス料金の明細書。 病院や薬局の領収書。 小さく折られたスーパーのレシート。 年金は、手取りで月におよそ十一万八千円。 貯金も、まったくないわけではありません。 今日や明日、すぐに生活に困る状態ではないのに、恵子さんは通帳を何度も開いてしまいます。 「まだ大丈夫」 そう自分に言い聞かせたあと、もう一度つぶやきました。 「でも、なるべく使わないようにしないと」 年金生活になってから、恵子さんは少し高い魚を棚へ戻し、寒い朝も暖房を早めに弱くし、歯の痛みを我慢していました。 古くなった靴。 音が大きくなった冷蔵庫。 友人からのお茶の誘い。 娘や孫に会いに行くための電車代。 お金がまったくないからではありません。 貯金が減ることが、怖かったのです。 けれど、なぜ貯金があっても安心できないのでしょうか。 その理由の一つは、通帳の残高ばかりを見て、毎月の暮らしに本当はいくら必要なのか、いくら不足しているのかを知らないことにあるのかもしれません。 この動画では、年金と貯金のどちらを先に考えるべきか。 六十代からのお金の優先順位について、恵子さんの物語を通して、ゆっくりお話しします。 恵子さんは、娘からこう聞かれました。 「年金だけだと、毎月いくらくらい足りないの?」 年金額は知っています。 貯金額も知っています。 けれど、毎月いくら足りないのかと聞かれると、答えることができませんでした。 そこで恵子さんは、通帳の残高ではなく、暮らしの不足額を計算してみることにしました。 毎月入ってくる年金は、およそ十一万八千円。 そこから、 家賃と管理費。 電気、ガス、水道。 電話。 保険。 病院と薬。 食費。 日用品。 交通費。 さらに、毎月ではないけれど一年の中で必要になる、 歯科治療。 眼鏡。 家電の修理や買い替え。 冠婚葬祭。 孫へのお祝い。 冬の暖房費。 夏の冷房費。 そうした支出も、少しずつ月割りにして考えました。 友人とお茶を飲むお金。 娘や孫に会いに行く電車代。 小さな楽しみのためのお金も、すべてゼロにはしませんでした。 計算して分かったのは、恵子さんの暮らしには、平均して月に約十三万七千円かかっているということでした。 年金は十一万八千円。 毎月の不足は、およそ一万九千円です。 一万九千円は、小さな金額ではありません。 けれど、それまで頭の中にあった不安は、もっと大きく、もっと曖昧なものでした。 「貯金が、すぐになくなるかもしれない」 「この先、暮らしていけないかもしれない」 そんな形のない怖さが、 「今の暮らしでは、月に一万九千円ほど足りない」 という、考えることのできる数字に変わりました。 貯金が減ることと、何も分からないまま貯金が減ることは、同じではありません。 毎月の不足を補うため。 身体と健康を守るため。 安全に暮らすため。 会いたい人に会うため。 何のために使うのかが分かっていれば、通帳の残高が減っても、その意味は変わります。 恵子さんは、それまで年金と貯金を、まったく別のものとして考えていました。 年金は使ってよいお金。 貯金は使ってはいけないお金。 けれど、年金は毎日の暮らしを支える土台です。 そして貯金は、年金だけでは足りない部分や、もしもの時、今の健康と安心を支えるもう一つの柱です。 恵子さんは、貯金の役割を三つに分けました。 一つ目は、毎月の不足を補うお金。 年金だけでは足りない一万九千円ほどを補うためのお金です。 二つ目は、もしもの時に残しておくお金。 病気、入院、家電の故障、住まいの修理、急な移動など、予想できない支出に備えるお金です。 三つ目は、今の自分を守るお金。 必要な治療。 暖房や冷房。 歩きやすい靴。 身体を支える食事。 友人と話す時間。 家族に会いに行く交通費。 体だけでなく、心まで無理に削らないためのお金です。 この動画は、貯金を自由に使い切りましょうという話ではありません。 将来の備えをなくす話でもありません。 大切なのは、 全部使わない。 全部我慢する。 その二つだけで考えないことです。 まず確認したいのは、通帳にいくら残っているかだけではありません。 年金が実際にいくら入るのか。 今の暮らしに毎月いくらかかっているのか。 平均して、いくら足りないのか。 その数字を知ったあとで、貯金を何のために、どこまで使うのかを決めていきます。 恵子さんは、毎月二万円まで、生活の不足を補うために貯金から使ってよいと決めました。 一円単位まで完璧に合わせるのではなく、自分が安心して考えられる範囲を作ったのです。 それから、寒い朝には部屋が暖まるまで暖房を使いました。 先延ばしにしていた歯科医院へ予約を入れました。 歩きやすい靴を買い、少し厚みのある鮭を食卓に並べました。 娘や孫に会いに行き、昔の友人と喫茶店で話す時間も持ちました。 貯金は、これから少しずつ減っていきます。 けれど、暮らしまで一緒に小さくする必要はありません。 食べること。 暖かく暮らすこと。 治療を受けること。 安全に歩くこと。 会いたい人に会うこと。 そうしたことに使うお金は、必ずしもぜいたくではありません。 今の暮らしを守るための、必要な支出でもあります。 もちろん、毎月の不足額を知っても、不安が完全になくなるわけではありません。 物価が上がることもあります。 医療費が増えることもあります。 電気代が高くなる月もあります。 けれど、不安が戻ってきた時に、何を確認すればよいかが分かるようになります。 今月は、いくら足りないのか。 いつもの不足なのか。 今月だけ増えたのか。 何が増えたのか。 決めた範囲で貯金から補えるのか。 何か月も不足が大きい状態が続くなら、固定費や契約を見直す。 一人で判断するのが難しければ、家族や自治体の相談窓口、地域包括支援センターなどに相談する。 不安にならないことよりも、不安になった時に、見る場所を知っておくことが大切なのかもしれません。 六十代からのお金で、最初に確認したいのは、貯金額だけではありません。 まず、年金の手取り額。 次に、今の暮らしに必要な毎月の支出。 そして、平均していくら不足しているのか。 そのあとで、貯金の役割を決めます。 毎月の不足を補うお金。 もしもの時に残すお金。 今の健康と暮らしを守るお金。 そう分けて考えることで、貯金は、ただ減るのが怖い数字ではなく、今の暮らしを支えてくれる静かな味方になります。 もし今、 「貯金はあるのに安心できない」 「通帳の残高が減るのが怖い」 「年金だけで暮らすべきだと思っている」 「必要な治療や暖房まで我慢している」 「何から確認すればよいか分からない」 と感じているなら、最近の通帳と領収書を一度だけ食卓に並べてみてください。 正確でなくても大丈夫です。 毎月の手取り年金。 おおよその生活費。 平均的な不足額。 まず、この三つを大まかに知るだけでも、見えなかった不安が、考えることのできる数字に変わることがあります。 皆さんは、通帳の残高と毎月の不足額、どちらをよく見ていますか。 また、貯金を使うことに罪悪感を感じることはありますか。 差し支えない範囲で、コメント欄に教えてください。 同じように年金生活のお金に不安を感じている方にとって、皆さんの経験が小さな安心につながるかもしれません。 このチャンネルでは、年金生活のお金、老後資金、ひとり暮らしの不安、家族との距離、健康、無理をしすぎない節約について、身近な物語を通してゆっくりお話ししています。 これからも一緒に考えていきたい方は、チャンネル登録をして、また次のお話を聞きに来てください。 #年金生活 #老後の貯金 #老後のお金 #老後資金 #年金と貯金 #老後の現実と本音

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