誰かのために「生涯現役」人情食堂 30分皿洗いで食事代無料の餃子店 76歳店主の想い【知ってもっと】【グッド!モーニング】(2026年5月5日)

 「30分の皿洗いで食事代が無料」になるギョーザ店に、客足が途絶えないおにぎり屋さん。年齢を重ねても、誰かのために働き続ける人たちを取材しました。 ■絶品ギョーザ 76歳店主の想い  五山送り火で有名な「大文字」が見られる、大人気の観光スポット、京都市の出町柳。その一角にある「いのうえの餃子」。絶品ギョーザがウリの店です。 店の客 「ラーメンと定食(食べます)」 「おいしいのとギョーザ好きなのと、安いのですかね」  定食のライスは無料でどんぶりサイズの大盛にできます。「餃子定食2人前」が990円(税込み)。「ラーメン」は一杯600円(税込み)です。  1000円でおなかいっぱいになれるメニューがずらりと並んでいますが、「めし代のない人、おなかいっぱいただで食べさせてあげます。但し、食後30分間お皿洗いをしていただきます」という貼り紙もあります。  かつて「餃子の王将 出町店」の店主だった井上定博さん(76)。2020年に引退するまでおよそ40年、苦学生におよそ3万食の無料の食事を提供してきました。  大切にしているノートには、食事をした学生からの感謝の言葉があふれています。 井上さん 「20歳ぐらいの時、嫁さんと駆け落ちして大阪に行ったんですよ。それからずっと苦労してきたからね。(職場の先輩)のおばちゃんが、俺らどうしてるか知ってるやん。『今晩、水炊きする、すき焼きする、焼き肉するから食べにおいで』。20歳から76歳になったけど、その間にいろいろ良いこともあったけどね。そのことが一番覚えてるわ」 ■「若い人たちに恩返し」  受けた恩を若い人たちへ。その思いは引退しても尽きることはなく、73歳で再び店を開くことを決意。もちろん、無料の食事サービスも。  この日“皿洗いを宣言”しながら入店してきたのは、京都大学大学院生の23歳です。 京都大学大学院生 「きょうはお皿洗いさせてもらって、ご飯食べさせてもらおうかなと思ってきました。5回目ぐらいです」 「餃子定食1人前お願いします」 井上さん 「(ライス)大盛りやった?」 京都大学大学院生 「大盛りでお願いします」  1人前の「餃子定食」を注文しましたが、出されたのは2人前。井上さんのやさしさに触れ、学生も笑みがこぼれます。 京都大学大学院生 「大学院で研究も忙しいので、バイトしているんですけど、家賃とか自分で払っていて、食費を浮かすことが助かっています」 井上さん 「これ洗ったことある?」 京都大学大学院生 「あります」 井上さん 「これ洗っといてくれる」  毎月4万円の仕送りにバイト代2万円。家賃と光熱費で5万円かかるため、生活費はわずか1万円しかありません。困った時には、井上さんを頼ってしまうと話します。 京都大学大学院生 「京都での親ですかね。ご飯、自分が食べづらい時でも、心のよりどころになっているというか。食べさせてもらうことができるのは、すごい感謝しています」  学生に限らず地元客を中心に、お昼どきや夕方の店内は満席に。 井上さん 「焼きすぎた。ちょっと待ってな。よう焼いたギョーザや」  ギョーザを焼きすぎちゃいましたが、ユーモアたっぷりに笑いに変えるシーンもありました。  人気観光地の京都とあって、外国人観光客も少なくありません。 スペイン人観光客 「recommendation?(お勧めはありますか?)」 井上さん 「ん?分かります?まぁ、これじゃないか」 スペイン人観光客 「パーフェクト。サンキュー」  外国人との接客は決してスムーズではありませんが、問題ないようです。 タイ人観光客 「アロイマーク(とてもおいしい)」 井上さん 「ハートやから。それが一番通じるよね」 ■「胸がいっぱい」学生が涙  午後6時30分、同志社大学1年生(18)の男子学生が食事を終えると、井上さんに話しかけます。 学生 「すいません。めし代の貼り紙はどういう?」 井上さん 「めし代のない人は、皿洗ったら飯食える。こづかいないの?」 井上さん 「皿洗って帰り」  勝手がわからず慣れない手つきの男子学生。見かねた井上さんがアドバイスします。 井上さん 「面で洗うと早いから」 「お前のこうやろ、こんなんしてたら遅いやろ」 学生 「分かりました」  皿洗いの後、残った時間でテーブルの調味料を拭いていきます。 同志社大学1年生(18) 「おコメとおかずと野菜が入っていた。(普段は)だいたいどれか欠けているので。満足度がすごい、おいしかったですし。唐揚げまで付いてくるとは」  人と話すことが苦手だという男子学生。「皿洗いがしたい」と話しかけるのが、食後になってしまったそうです。 井上さん 「ちょっと焦げてるギョーザあげるわ。晩に食べとき」 学生 「いいんですか。おいしかったです。ごちそうさまでした。ありがとうございます、本当に」  客には出せなくなった“焦げたギョーザ”はお土産に。男子学生も、井上さんの温もりを感じていました。 学生 「言葉にできないくらい、胸がいっぱい。こっちが申し訳なくなるくらい」 井上さん 「順繰りやわね。僕はあの人ら(先輩)に食べさせてもろうたし、それを困ってる子に腹減らせるのに食べさせる。こういうことを経験したらね、ひょっとしたら人に優しくなれるよね」 「(Q.何歳まで頑張りたい?)僕は99歳までいきたいから、99歳までぼけたくないから」 ■人気おむすび屋83歳看板娘  ところ変わって、東京・調布市仙川の商店街にある「おむすびてしま」。コメ店が経営するおにぎり屋さんです。  午前6時、朝早くからおにぎり作りをするのは、店の女将で“看板娘”の手島弘子さん(83)です。 「(Q.おにぎりを作るコツは?)やっぱり、あんまり握らないことですね。のりで包むって感じですね」  手際よく次々とおにぎりを作っていく弘子さん。手のひらにのせたご飯はころころと転がすように、具を入れて最後に一握り、力を入れず優しく包むように握ります。 「ふわっとして、おいしいですよ」  148センチあった身長も、現在は134センチに。小柄な体ですが、手を見せてもらうとこのサイズです。  この大きな手で握るおにぎりは1日300個。創業から50年以上、店のコンセプトでもある“素朴な味”を貫いてきました。 「(炊き立てのご飯は)ちょっと熱いけど、でももう慣れましたので」  炊き立ての熱々ご飯で握ると、“冷めてもおいしい”おにぎりになるそうです。 ■名物「豚そぼろ」250円  店の一番人気は紅鮭おにぎり。具材の鮭はオーブンで蒸した後、焼いて仕上げていきます。  コメは新潟県胎内産コシヒカリ「みずばしょう」。有明海産ののりで包んだぜいたくな一品です。  他にも、こんなおにぎりがあります。 「普通、鶏なんですよね。うちは豚なんです。子どもが小さい時にお弁当でいつも使っていたんですよ」 手島健太さん(53) 「お弁当は小学校のころ作ってもらってたので、思い出はあります」  息子の健太さんが子どものころから大好きだった「豚そぼろ」。“親子の思い出の料理”は、今では看板メニューの一つとなりました。  弘子さんが握ったおにぎりの味は…。 店の客 「ふわふわですよ。これがなかなかないんですよ」 「ちゃんと握ってくださっているので、愛がこもっている感じがします」  現在2代目の健太さん。目標は“母のおにぎり”を握れるようになることです。 「僕がむすんだのと、母がむすんだのだと、母がむすんだほうが、ふっくらしておいしい」  83歳の弘子さんは、いつまで続けるつもりなのでしょうか? ■「体が続く限り生涯現役」  50年以上おむすびを握り続けてきた弘子さん。生涯現役で頑張りたいと話します。                                       「体が続く限り。まず健康に気をつけてやっていますので」 「どうぞどうぞ。いつもありがとうございます」 (2026年5月5日放送分より) [テレ朝NEWS] https://news.tv-asahi.co.jp

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