Humiwo Hayasaka [早坂文雄]: Danse antique (1937)

Humiwo Hayasaka (1914~1955, Japan) 早坂文雄: 古代の舞曲 New Symphony Orchestra, Japan Yasushi Akutagawa, conducting Recorded: April 6, 1979 曲は、1楽章形式をとってはいるが、レントにはじまるフリーリズム的で、ほとんど舞楽のように、ゆるやかに静的に奏されていく前半と、それと対照的に、神楽的、民俗舞踊的にリズミックな躍動を展開していく後半の2部分にわけられる。 まずフルート・ソロがまったく自由なリズムで、五音音階による旋律を奏する。これは雅楽的とも、また追分的な主題ともみられる。これにオーボエ、その他の楽器が加わっていき、またさまざまな新しい要素が現われ、それらが線的につなげられて展開されいく。こうして、しだいにオーケストラは重層的にひろがっていき、クライマックスを形づくり、断続的な、特色のある拍節的な足どりを重くひきずる。 やがてテンポは四分音符=72に速められて、16分音符で細かく刻むリズム的な展開のうえに、息のながい旋律が各楽器に受けつがれながら奏され、雅びやかな、雅楽的な空間をひろげていく。これは途中からカノン的になり、先の主題が変化を加えられて力強く再現する。そして、そのあとピアノ、チェレスタ、ハープなどを中心に、清澄なひびきの空間をひろげる推移部的な静かなうごきにつづいて、冒頭のフルートのソロにはじまるゆるやかな展開が再現する。 このあとすぐに打楽器(ティンパニー、大太鼓)の雄壮なリズム的な出現によるアンダンテ・グラツィオーソの後半部分が躍動的にくりひろげられていく。アクセントによって特徴づけられた跳躍的な力強い主題がくりかえされていく。 こうしてやがて曲は最後の部分に入る。 弦楽器、金管楽器は打楽器的なリズムの音色として扱われ、アクセントによる躍動的なリズムを刻む動的な展開となる。その力強いリズム的な展開のうえに、ピッコロ、フルートによる明るく、陽気で、軽やかな、都節旋法的なメロディが現われる。これが転調されたり、自由な変化をみせながら、オーケストラ全体でしだいに高潮し、昂揚していって、最後にピッコロ、フルートのソロが2小節だけ浮かびあがると、一瞬、金管楽器群がその躍動を打ちとどめるように暗い音色の別の空間をスポットしてしずまる。突然のようにfffの大音響とともに、この作品は切断されておわる。早坂文雄の交響的作品はつねに静寂のなかに消えていくが、この終わり方はめずらしい。 (秋山邦晴、FOCD-9081『早坂文雄管弦楽選集-1』解説書より)