吸血鬼の増殖 聖飢魔Ⅱ SEIKIMA II

チューニングを一音半程下げて演奏してるという、本教典の中でも一、二を争う重たく暗い曲調です。 この曲に限っては、序盤の不気味なSEと語りの部分をカットしました。迫力のある、攻撃的な曲が せっかく目白押しなので、畳み掛けてくる様なテンポにしたかったので。イントロでグルグル回る 子供の泣き声には、初めて聴いた時は本気で鳥肌が立ちました。只管恐ろしく悍ましい世界観と旋律です。 非常に恐ろしい題名と詞で、完全にホラーの世界が描かれてますね。 神々の姿に似てるが、人間の中にゃ この一節が特に印象的です。 人間は神に創造された、というのは洋の東西を問わず、割と普遍的、共通の認識です。 逆に考えると神々の姿とは、理想的で優れた容姿の人間に近い姿に違いない、という思想が次第に生まれます。 多神教時代のギリシアがそうですね。古代の彫刻等にその思想が色濃く反映されています。とても理想的、 美化された人物の姿が神として表されていますよね。 我々日本人が吸血鬼と聞いて、先ず想像するのがドラキュラではないでしょうか? 古代ギリシアならラミアーが吸血鬼に譬えられるそう。絵画ではとても美しい裸婦の姿として描かれています(ドレイパーの作品など)。 壮年男性のドラキュラ伯爵とは似ても似つかないですね。 関係ない事をツラツラ記してしまいましたが、この、ギリシア的価値観が詞の一片に描かれていたので、 それと同じ価値観で主題の「吸血鬼」を特定したらどうなるの?と思っただけの事です。失礼しました。 作詞 デーモン小暮閣下 作曲 デーモン小暮閣下 流石です閣下。この曲ではギターソロならぬ、ベースソロが堪能出来ます。やはりギタリスト以外のメンバー 作曲の場合はアレンジもより自由、展開も意外性に富んでるモノが多い印象です。 ファンク・フュージョン系が得意なゼノン和尚の、コレまでのイメージを一新してしまう程、激しく オカルティックなフレーズです。 原点回帰どころか、初期を遥かに凌ぐ重さ、暗さ、恐ろしさに満ち満ちた、個人的お気に入りの一曲です。 厳粛でしめやかで、ダークで、恐ろしい。それでいて「グサー」とか「ゾクー」とか、敢えて子供っぽい オノマトペを堂々と使用したり、餌である人間どもを「根絶やしにしたら最後、こちらが飢え死にだ」 と締めくくったり。相変わらず遊び心満点の詞ですよね。この、怖がらせたいのか、笑わせたいのか という読めない、食えない表現こそが聖飢魔Ⅱの醍醐味です。詞を詳らかに読み込むうち何を描いてるか、 次第に見えてくる造りなのも心ニクい演出です。 蒸し暑い夏の夜、寝てる時間にあの甲高く耳障りな羽音を立てて飛んできては身体に留まり、 肌に針を刺しては人の血を勝手にチューチュー吸うあいつらの事ですね(笑)ラミアーとか古代ギリシア 云々はどこ行った?というオチです。 コメントでヒントを頂いたお蔭です。もうピン!と来ました。 そうなると中間のベースソロの音色も、まるでやつらが飛んでるときに立てる、あの羽根の音を 表現したモノに聞こえて来ます。多分、「解」なのでしょう。どこまで行っても「食えない集団」です。 これこそが閣下。実に卓越した発想、表現力の持ち主です。もう、一生付いて行きます(笑)