平家物語「忠度の都落ち」朗読|原文・現代語訳|高校古典
高校古典の教科書にも出てくる平家物語(へいけものがたり)の中から「忠度の都落ち(ただのりのみやこおち)」の朗読です。 原文と現代語訳を併記しています。 学校のテストの為の暗記や暗唱、勉強用としても活用頂ければ幸いです。 [関連記事] 平家物語「忠度の都落ち」原文と現代語訳・解説・問題 https://shikinobi.com/heikemonogatari 古典作品一覧|日本を代表する主な古典文学まとめ https://shikinobi.com/koten 今後も様々な動画をアップ予定ですので、是非チャンネル登録もお願いします。 また、「こんな動画を上げて欲しい」などのリクエストがあれば、お気軽にコメント頂ければ幸いです。 [関連動画] 平家物語 • 平家物語の冒頭朗読|暗記・暗唱 大鏡「雲林院の菩提講」 • 大鏡「雲林院の菩提講」朗読|原文・現代語訳|高校古典 伊勢物語「東下り」 • 伊勢物語「東下り」朗読|原文・現代語訳|高校古典 枕草子「二月のつごもりごろに」 • 枕草子「二月のつごもりごろに」朗読|原文・現代語訳|高校古典 枕草子「宮に初めて参りたるころ」 • 枕草子「宮に初めて参りたるころ」朗読|原文・現代語訳|高校古典 [朗読] 真瀬 みあさん #平家物語 #忠度の都落ち #古典 【全文】 薩摩守忠度は、いづくよりや帰られたりけん、侍五騎、童一人、わが身ともに七騎取つて返し、五条三位俊成卿の宿所におはして見給へば、門戸を閉ぢて開かず。 「忠度。」 と名のり給へば、 「落人帰り来たり。」 とて、その内騒ぎ合へり。 薩摩守、馬より下り、みづから高らかにのたまひけるは、 「別の子細候はず。三位殿に申すべきことあつて、忠度が帰り参つて候ふ。門を開かれずとも、この際まで立ち寄らせ給へ。」 とのたまへば、俊成卿、 「さることあるらん。その人ならば苦しかるまじ。入れ申せ。」 とて、門を開けて対面あり。 事の体、何となうあはれなり。 薩摩守のたまひけるは、 「年ごろ申し承つてのち、おろかならぬ御事に思ひ参らせ候へども、この二、三年は、京都の騒ぎ、国々の乱れ、しかしながら当家の身の上のことに候ふ間、疎略を存ぜずといへども、常に参り寄ることも候はず。君すでに都を出でさせ給ひぬ。一門の運命はや尽き候ひぬ。 撰集のあるべき由(よし)承り候ひしかば、生涯の面目に、一首なりとも、御恩をかうぶらうど存じて候ひしに、やがて世の乱れ出できて、その沙汰なく候ふ条、ただ一身の嘆きと存ずる候ふ。 世静まり候ひなば、勅撰の御沙汰候はんずらん。これに候ふ巻き物のうちに、さりぬべきもの(*)候はば、一首なりとも御恩をかうぶつて、草の陰にてもうれしと存じ候はば、遠き御守りでこそ候はんずれ。」 とて、日ごろ詠みおかれたる歌どもの中に、秀歌とおぼしきを百余首書き集められたる巻き物を、今はとてうつ立たれけるとき、これを取つて持たれたりしが、鎧の引き合はせより取り出でて、俊成卿に奉る。 三位これを開けて見て、 「かかる忘れ形見を賜はりおき候ひぬる上は、ゆめゆめ疎略を存ずまじう候ふ。御疑ひあるべからず。さてもただ今の御渡りこそ、情けもすぐれて深う、あはれもことに思ひ知られて、感涙おさへがたう候へ。」 とのたまへば、薩摩守喜んで、 「今は西海の波の底に沈まば沈め、山野にかばねをさらさばさらせ。浮き世に思ひおくこと候はず。さらばいとま申して。」 とて、馬にうち乗り甲の緒を締め、西をさいてぞ歩ませ給ふ。三位、後ろをはるかに見送つて立たれたれば、忠度の声とおぼしくて、 「前途ほど遠し、思ひを雁山の夕べの雲に馳す。」 と、高らかに口ずさみ給へば、俊成卿、いとど名残惜しうおぼえて、涙をおさへてぞ入り給ふ。 そののち、世静まつて『千載集』を撰ぜられけるに、忠度のありしありさま、言ひおきし言の葉、今さら思ひ出でてあはれなりければ、かの巻物のうちに、さりぬべき歌いくらもありけれども、勅勘の人なれば、名字をばあらはされず、「故郷の花」といふ題にて詠まれたりける歌一首ぞ、「よみ人知らず」と入れられける。 [さざなみや志賀の都はあれにしを 昔ながらの山桜かな] その身、朝敵となりにし上は、子細に及ばずと言ひながら、うらめしかりしことどもなり。

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