【十勝岳噴火から来年で100年】三浦綾子さん著『泥流地帯』映画化へ…度重なる挫折の中、災害と復興の歴史を描く人気小説の映画化を目指す人々の想い「上富良野の歴史をつないでいけたら」北海道
144人もの死者・行方不明者を出した十勝岳の噴火から2026年で100年。 災害と復興の歴史を風化させないよう、人気小説の映画化を目指す人々の思いとは。 上富良野町役場に勤める浦島啓司さん。 地元で起きた大災害の歴史を風化させたくないと奮闘しています。 「三浦綾子さんの小説『泥流地帯』が災害から100年という節目でようやく映画化の取り組みが始まりました」(浦島啓司さん) 『泥流地帯』は旭川出身の人気小説家、三浦綾子さんが泥流で家族や田畑を失った人々の復興の姿を描いた作品です。 制作費2億円を集めようと資金集めに奔走していました。 「企業もなかなか投資・協賛に関しては厳しくなってきているが、すごく企業にとってもご協力しやすい体勢を提案していただいているので社内で検討させていただいて」(サッポロビール関係者) 十勝岳連邦の麓にある農業が盛んな上富良野町。 100年前、壊滅状態となる災害に見舞われました。 1926年5月24日、大音響とともに十勝岳が爆発しました。 死者・行方不明者は上富良野と美瑛であわせて144人に上ります。 噴火によって山に積もった雪が溶けて発生する「融雪型火山泥流」。 最大時速100キロという猛烈なスピードで田んぼや畑を次々と飲み込んでいきました。 ただ、噴火は過去の話ではありません。 十勝岳は、100年前の噴火以降も約30年のペースで噴火を繰り返しています。 「噴煙の量が2021年以降増えてきていますので、熱活動が活発になってきている。我々の人生のなかで非常に噴火に遭遇する確率は高いと思います」(札幌管区気象台 向井伸夫予報官) 映画化を目指す上富良野町の浦島さんは、祖父の秀雄さんから泥流の話を耳にしたことがありました。 「少し遠く500メートルくらい先まで泥流が来たんだぞっていう話は1度だけ聞いたことはあるんですが、その後の復興の様子なんかは一度も聞いたことはありません。ここから先50年、100年つないでいくために、何をすべきか、というのを考えました」(浦島さん) 災害の歴史をどうやって後世につないでいくか。 8年前から映画化に取り組み、2025年ようやく監督や配給会社が決まりました。 「復興したという歴史的な偉業を伝えたいというのが一つ。人力で取り組んだという上富良野の歴史を伝えていかなければならない」(浦島さん) 不屈の精神で復興を成し遂げた歴史とは。 十勝岳が噴火した日、上富良野町で噴火の歴史を伝えるイベントが開かれました。 「実は私の直属の父親の兄弟の長男一家が9人流されています」(環境ボランティア野山人 佐川泰正さん) 先祖22人が泥流の犠牲となった佐川泰正さんは、噴火を風化させないために歴史を語り継ぐ活動をしています。 佐川さんは苦難の歴史を確認するため、2メートルにも及ぶ穴を掘りました。 「ここからこの流木のあるこの辺まで。一気に流れてきた泥流層です。その後ですね砂利層の上の方。流木の上くらいまでですか。それが復興の客土によって作られた地層ですね」(佐川さん) 一瞬のうちに泥の海となった畑や田んぼ。 人々は流木や岩を一つ一つ人力で取り除き、山から削ってきた土を泥流の上にひたすら運び入れました。 復興を遂げるまで8年の歳月がかかりました。 映画制作の道のりも苦難の連続でした。 提携を結んだ制作会社の事業撤退や倒産が相次ぎ、2度の白紙を経験しました。 3年前から、浦島さんと映画化を進めてきた大道さんは矢面に立たされた浦島さんをそばで見てきました。 「誰かに説明しに行かなきゃならないとか(中止しろと)言われたとかそういう時にはやっぱりキュッと小刻みに震えている姿は何度も見てますけど」(上富良野町 大道千アキさん) 「すいませんっていう気持ちは当然いっつも持ってますよ。本当ね、俺が上手くやっていれば。すごく大きな試練に立たされた100年前の人が、人力で災害から復興しますよって諦めない気持ちを表した作品なので、それを映画にする事業が、1回や2回や3回や4回の挫折で諦めるっていう理由には、ならないですよね。とにかくそれを伝えていきたい」 「ぜひこの映画…企業の皆さまとぜひ」(共に浦島さん) 「失礼いたします、ありがとうございました」 「町民のみなさまが…地域に誇りを持って『泥流地帯』という作品が読み継がれて上富良野の歴史がつないでいけたら、それだけで報いになります」(浦島さん) 上富良野の誇りを映画にのせて全国へ。 災害から100年となる2026年のクランクインを目指し、浦島さんの挑戦は続きます。

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