アフター東京パラリンピック~競泳 金メダリスト 鈴木孝幸さんが描く多様性とは?(2022年1月15日)
去年、“多様性と調和”をテーマに開かれた東京パラリンピック。今、障がい者の雇用の充実や、街のバリアフリー化など世の中が動きつつあります。“多様性のある社会とは”なんなのか。ひとりのパラリンピアンに聞きました。 「あなたはスーパーヒーロー」「本当に!?」 これはIPC=国際パラリンピック連盟が東京パラリンピックの開催時に公開した動画です。映し出されているのは、電動車いすや義足の女性、視力が弱い人の日常です。世界人口の15% およそ12億人いる彼らが今伝えたいメッセージとは・・・? “障がい者”を身近に感じてほしいと行動する人がいます。 ■鈴木さん「みんなはこういう障害者を持っている人を見たことはありますか?」 小学生に語り掛けるのは、鈴木孝幸さん(34) 東京パラリンピックで金メダルを獲得した水泳選手です。鈴木さんは先天性四肢欠損。右腕の肘から先がなく、左手は指が3本、右足は付け根付近から、左足は膝までない状態で生まれてきました。 ■鈴木さん「障害をもっているのもね、みんながみんなひとりずつ違うように障害があろうがなかろうか、みんなが違うっていうだけなので、障害っていうのも個性なんだよって覚えてほしいな」 子どもの頃から普通学級で過ごし、どんなことにも挑戦してきたという鈴木さん。高校生の時のアテネ大会から5大会連続でパラリンピックに出場し・・・去年開催された東京大会では、招致にも貢献。100m自由形の金メダルなど、5つの種目でメダルを獲得しました。大会後は、日本人では初となるIPCの選手委員に選ばれています。子どもたちの率直な質問にも飾らずに答えていきます。 ■小学生 「できないことってなんですか?」 ■鈴木さん「電球変えるのはできなかったので友達に変えてもらいました」 ■小学生 「苦しいのはどうやってのりこえたんですか?」 ■鈴木さん「やるしかないですね(笑)」「なんでできてないのかは考えました。」 手助けもしてもらうし、解決策も考える。鈴木さんの日常を通して子供たちに伝えるのは・・・ ■鈴木さん「障害者もみんなおんなじ人間だよ、そんなびっくりすることじゃないよ、って覚えてもらいたいし、手伝ってほしそうにしてたら手伝ってあげてください。」 ■小学生「特別扱いせずに同じ人間として優しく接してあげることが大切だと思った。」 ■小学生「弟が、癌で。一応治ってるが、記憶障害があって、家族が障害なので、人間みんな同じだっていうことをよく知った」 東京パラリンピック後の調査では「障がい者への理解が進んだ」と答える割合は大会前に比べ20ポイントのびました。 ■鈴木さん「駅とかでもこう声をかけて下さる方が増えたという印象はありますし、また、をインフラの整備というかっていう面でも、ある程度進んだじゃないかな。」 街も大きく変わり始めています。例えば、車いす利用者も乗りやすいよう設計された「ユニバーサルデザインタクシー」。招致が決まる前は数百台程度でしたが2019年度にはおよそ2万1700台に増加しています。駅には、エレベーターが設置されるようになり、多機能トイレも多くみられるようになりました。今年10月にはJR東日本が全駅バリアフリー化を目指し、運賃の値上げを検討しています。バリアフリー化は進んでいますが、鈴木さんは課題もあると感じています。 ■鈴木さん「もちろんハード面で取り組みやすいしたぶん政治的にも動きやすいですし、取り組みやすいんだけれども、ソフト面がクリアになればちょっとハード面でバリアがあっても解決することってありますから。そこが一番、動きづらいっていうかなかなか変わりづらい部分なので、そういう意味では東京パラで終わりではなくて、そこからまた続けていくっていうのが大事だと思います」 鈴木さんが目指す社会とは・・・? ■鈴木さん「みんなが同じ、社会の中で生活できているっていうことが、みんながこう受け入れられているっていうのが多様性なんだと思います」 さまざまな人が、受け入れられる社会。人々の意識を変えていくことが実現へのカギかもしれません。 日本航空・羽田整備場のスタッフルームです。 ■ネイリスト「耳が聞こえないので、こちらでコミュニケーションをとっていきたいと思います。」「ここにきたきっかけ聞いてもいいですか?」 ■客室乗務員「先輩に聞いて来ました。」 客室乗務員のネイルをしているのは難聴のネイリスト。アプリなども使いながら対応します。日本航空ではおよそ650人の障害があるスタッフが働いています。その姿はここでも・・・ 難聴の鈴木麗亜さん。本社ビルで受付を担当しています。 ■鈴木麗亜さん「障害だから出来ないとかそういのがないところ。なんでもいろんな仕事を任せられていてとてもやりがいを感じます。」 ただ、一緒に働く米村さんにははじめは戸惑いもあったといいます。 ■米村さん「お会いしたときはどういうふうにお話していいか不安だった、伝わっているかどうか聞くのも失礼かなって思った・・・。」 それでも些細なことへ“気づき”で関係は一歩前にすすみました。 ■米村さん「右側が聞こえやすい、高い声のほうが聞こえやすいというのを理解してコミュニケーションとるようにしています。」 ■鈴木麗亜さん「障がい者って何かがかけているっていうイメージがあるかと思うんですが、みんな特性が違うのでその方に合わせた配慮があると一番いいのかなって思います。」 今、多くの企業が積極的に障害者の雇用を進める中で接客業などでもその姿を目にする機会が増えました。多様性のある社会を築くためには“少しの思いやり”をお互いが持つことが必要そうです。 ここでは、障がい者の案内でその世界を体験することができます。この日は耳が不自由なスタッフと一緒になって言葉を使わないでコミュニケーションを取ろうというイベントが開かれました。2人のスタッフがカフェの店員として参加者の注文を聞き、身振り手振りを使って答えます。女の子が頼んだのはパイナップルジュース。一緒に木になっている果物を取りに行き、それをミキサーにかけます。出来立てのフレッシュジュースで乾杯です!言葉を使わなくても、「相手が何をしたいのか」お互いに考えることで新たな関係性が生まれます。 ■参加した女性「言葉で会話をするよりも、相手が何を伝えようとしているのかとかっていうのを、真剣にというか、いつもよりももっと深くとらえようとする気持ちがすごく出て来るなと思いました」 「居心地のいい社会」を築くために“心のバリアフリー”が進んでほしいと鈴木さんは言います。 ■鈴木さん「どんな人であれ同じ人間だし、健常者同士だって個性があるし、だから障害があるとか関係なく、どんな人にもこう思いやりを持って接してあげることが必要だと思いますし、そのためにはこう、相手のことをしっかりと理解してあげるっていうか、考えてあげるっていうかそういう事ができるようになっていけばいいじゃないかなと思います」 [テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

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