透明な引力

雨音だけが正しいみたいに 街は静かに息を潜める 言葉になれない輪郭を ポケットの奥で握り潰した 優しさは 触れた瞬間に形を変えて 守ろうとした未来ほど 指の隙間からこぼれていく 透明な引力に 何度も名前を呼ばれて 戻れない場所へ 心だけ先に歩いていた 正解なんて 誰のための地図なんだろう 迷い続けた足跡だけが 私を私にしていく 夜明け前の青は 終わりじゃなく始まりの色 壊れそうな鼓動を抱いて まだ見えない明日へ手を伸ばす 遠ざかる光も 消えたわけじゃない 瞳を閉じれば 胸の奥で静かに揺れている 透明な引力は 今も私を引き寄せる 答えのない景色ごと 抱きしめて歩いていこう この痛みがいつか 誰かを照らす灯りになるなら まだ少しだけ 信じてみたい この世界を。