yura - 透明標本

最初に交わした言葉より 途中で途切れた沈黙の方 肝心な会話の中身は 綺麗に抜け落ちてるのに 何を話したかじゃなくて どう笑ったかを覚えてる 世界なんて狭かったね そう言うには遠くまで来た 誰かになりたい訳じゃない 誰にもなれないだけ 笑った数より黙った数が 今はやけに多いよね 変わったのは景色じゃなく それらを見る側 透明標本 触れた瞬間 形が変わる 名前を付けたら壊れそうで 結局そのまま 未完成形で 好きとも違う嫌いとも違う 言葉にした途端 安くなりそうで 自販機の下の十円玉 拾わなかったあの日みたい 少し伸ばせば届くものを 何故か見送る癖がある 偶然会った奇跡より 偶然会わない数の方が ずっと多いと知ってから 期待するのを減らした 薄く伸びた飛行機雲 途中で千切れた白線 続きがあると思う方が きっと勝手なんだろうな もしも全部巻き戻せるなら たぶん何も変えない 同じ失敗 同じ選択 同じ場所でまた笑う 透明標本失くしたんじゃない 手放したんでもない ただ流れていった Undefined 思い出なんて 綺麗じゃなくていい 少し欠けたまま 残ればそれでいい ラムネの瓶の底みたいな空 まだ少しだけ覚えてる