【ADHD/ASD】実は一瞬では絶対見抜けない!?発達障害の女性に現れる5つのサインを精神科医が解説します。
はい、こんばんは。精神科医の芳賀高浩です。 今日は、ADHD・ASD、いわゆる発達障害について、「女性に現れやすい5つのサイン」というテーマでお話ししていこうと思います。 今回は、竹内先生の動画へのリスペクトフル・オマージュ企画として、同じテーマを私なりに考えてみる、という形です。元動画の内容は見ていません。内容を真似するのではなく、同じお題で、精神科医の芳賀高浩ならどう考えるか、という動画です。 私自身も、発達障害についてさらに理解を深めたいと思っています。発達障害という言葉は広く使われるようになりましたが、単に症状を箇条書きで並べるだけでは、本当の理解にはなかなか届きません。 まず、ASDとは何か。ものすごく簡単に言うと、「空気を読むことが苦手」という特徴があります。もちろん、言葉の意味や文字情報が理解できないわけではありません。むしろ、言葉通りの意味はよく分かる方も多いです。 ただ、表情、声のトーン、間の取り方、場の雰囲気といった、いわゆるノンバーバルな情報を処理することが苦手です。定型発達の人は、言葉そのものよりも、その裏にある意味や空気をかなり重視しています。そのため、文字通りに受け取る人が少数派になると、「空気が読めない」と見なされてしまうわけです。 ASDのもう一つの大きな特徴は、こだわりです。ルーティン、手順、場所、物の配置、考え方などに強くこだわり、そこから外れると大きな不安や混乱につながることがあります。さらに、音、光、匂い、触覚などの感覚に敏感な方もいます。この「空気の読みづらさ」「こだわり」「感覚の特性」が、ASDを理解するうえで大事なポイントです。 一方、ADHDの特徴は大きく二つに整理できます。 一つは、不注意です。注意力や集中力を、必要なところに適切に配分することが苦手です。忘れ物が多い、片付けられない、ぼーっとしている、頭の中が整理できない、やるべきことの優先順位がつけられない。こうした形で現れます。 もう一つは、脱抑制です。つまり、理性でブレーキをかけることが苦手ということです。授業中に走り回る、順番を待てない、思いついたことをすぐ言ってしまう、感情が急に高ぶる。これらは「我慢が足りない」というより、脳のブレーキが効きにくい状態と考える方が分かりやすいです。 では、女性の発達障害にはどのような特徴があるのでしょうか。 一つ目は、「外では普通に見えるのに、家で一気に崩れる」ということです。 女性の場合、社会的に「空気を読むこと」「周囲に合わせること」「気を利かせること」を強く求められやすい傾向があります。そのため、ASDやADHDの特性があっても、外では必死に隠そうとします。 これをマスキングといいます。表情を読もうとする。相手に合わせようとする。こう言われたらこう返す、こういう場面ではこう振る舞う、というパターンを学習して、何とか社会に適応しようとするわけです。 女性は会話能力や模倣能力が比較的高いこともあり、発達障害の特性が外から見えにくくなることがあります。しかし、その分、外で膨大なエネルギーを使っています。結果として、外では普通に見えても、家に帰ると動けない、寝込む、泣く、怒る、何もできなくなる。これが女性の発達障害ではよく見られるサインです。 二つ目は、「多動や衝動性よりも、不注意が目立ちやすい」ということです。 ADHDというと、落ち着きがない、走り回る、衝動的に動く、というイメージを持つ方が多いと思います。しかし女性では、そうした分かりやすい多動や衝動性が目立ちにくいことがあります。 なぜなら、社会的に「目立ってはいけない」「迷惑をかけてはいけない」という意識が強く働きやすいからです。授業中に歩き回る、行列に並べない、思いついたことをすぐ行動に移す、といった行動は、本人も周囲の目を気にして抑えようとします。 その結果、外に出る症状よりも、内側に残る症状が目立ちます。ぼーっとしている、忘れっぽい、片付けられない、段取りが悪い、予定管理が苦手、頭の中が散らかっている。こうした不注意型の症状として現れやすいのです。 三つ目は、「発達障害ではなく、不安症やうつ病、双極症に見られやすい」ということです。 女性の場合、発達障害の特性が外に向かって表れにくく、自分の内側に向かいやすいことがあります。ずっと周囲に合わせる。ずっと我慢する。ずっとマスキングする。その結果、疲れ切ってしまう。 すると、表面上は「うつっぽい」「不安が強い」「気分の波が激しい」「感情が不安定」という形で見えます。そのため、最初はうつ病、不安症、双極症などと診断されることがあります。 もちろん、実際にうつ病や不安症を合併している場合もあります。ただ、その背景にADHDやASDがあり、過剰適応とマスキングの結果として二次的に不安や抑うつが出ていることも少なくありません。 四つ目は、「友人関係、恋愛、職場などの関係性で消耗しやすい」ということです。 男性の場合、特性が外に出て、分かりやすくトラブルになることがあります。一方、女性の場合は、目立った失敗を避けようとして、ずっと頑張り続けることがあります。 友人に合わせる。恋人に合わせる。職場で気を遣う。相手の表情を読み続ける。間違ったことを言わないように考え続ける。嫌われないように振る舞い続ける。 一見、うまくやれているように見えます。しかし本人の中では、ものすごい負荷がかかっています。関係性の中で消耗し、徐々にすり減っていく。そしてある時、燃え尽きるように動けなくなる。これも女性の発達障害で見逃されやすいサインです。 五つ目は、「月経関連の不調や摂食の問題として理解されやすい」ということです。 女性には月経周期があります。気分、体調、集中力、眠気、イライラ、食欲などが、月単位で変動することがあります。そのため、発達障害の特性による波や疲弊が、月経関連の気分変動として理解されることがあります。 もちろん、月経前症候群やPMDDが関係している場合もあります。しかし、その背景に発達障害の特性があり、普段から過剰適応を続けているため、月経前に一気に崩れるということもあります。 また、摂食の問題として現れることもあります。強い疲労感やストレスから過食に向かうこともあれば、ASDのこだわりや感覚過敏によって、食べられるものが限られることもあります。その結果、摂食障害として理解されるけれども、背景には発達障害の特性がある、というケースもあるわけです。 まとめると、女性の発達障害はとにかく分かりにくい。 一つ目、外では普通に見えるけれど、家で一気に崩れる。 二つ目、多動や衝動性よりも、不注意として目立ちやすい。 三つ目、うつ病、不安症、双極症のように見られやすい。 四つ目、友人関係、恋愛、職場などの関係性で消耗しやすい。 五つ目、月経関連の不調や摂食の問題として理解されやすい。 発達障害は男性に多いと言われることもありますが、女性の場合は、そもそも見つかりにくいのだと思います。社会的な役割を求められ、会話能力や模倣能力でマスキングし、普通に見えるように頑張ってしまう。その結果、周囲からは「普通にできている」と見えるけれど、本人は内側でどんどん疲弊していく。 だからこそ、「一瞬で見抜く」というよりも、「見えにくい苦しさに気づく」という視点が大切です。 同じテーマでも、精神科医によって見方や切り口は変わります。竹内先生の動画と私の動画を見比べていただくと、発達障害をいろいろな角度から理解できるのではないかと思います。 丸ごと同じ内容を話すのではなく、同じテーマを別の視点から考える。これは、視聴者の皆さんにとっても勉強になる企画だと思います。 これからも、皆さんの理解が少しでも深まるように、発達障害について一緒に考えていきたいと思います。 精神科医の芳賀高浩でした。

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