クマによる被害…「会話ができる」「命に別条がない」言葉の背景には極めて深刻な実態が 襲われた男性と治療にあたる医師の証言 秋田
クマによるけが=「クマ外傷」の症例が全国で最も多い秋田県。 この動画の記事を読む> https://news.ntv.co.jp/n/abs/category... けがは頭や顔に集中していて、治療にあたる医師は「人生を一変させるほど深刻だ」と警鐘を鳴らしています。 報道で使われる「会話ができる」「命に別条がない」という言葉の裏には、極めて深刻なケガの実態があります。 クマに襲われた男性と、その治療にあたる医師の証言をまとめました。 千葉清美さん 「とにかく目が合ったんですよね そしたら瞬間ですわそれが合図のように(クマが)向かってきました」 去年9月、仙北市にある自宅の目の前でクマに襲われた千葉清美さん。 クマは7~8メートルの距離から、千葉さんを目がけて突進してきたといいます。 直感的に「逃げられない」と感じた千葉さんは、クマを蹴って応戦しました。 千葉さん 「左足でクマの顔を蹴ったんですわ。でもそれが最後ですわ、意識があるのは」「クマが立ち上がる瞬間にどーんと浮かされて地面に落ちたんですね」 千葉さん 「あとは音も気配もないからどっかに行ってくれたんだと思った瞬間に顔の痛み想像できないですわ。『俺は一体何をされたんだろう』 とそんな痛みでした。だからやられた瞬間はわからないんですよね。宙に浮いている1秒間とかそんなんじゃないですか。その間にあごが破壊されました」 クマが去ったあと、あごの皮膚が垂れ下がっていることを確認した千葉さん。 (去年9月)「クマに頭や顔をひっかかれあごの骨を折るなどの大けがをしました」「男性は自力で自宅に戻り秋田市の病院に搬送されました。この時会話ができる状態だった ということです」 秋田大学医学部附属病院 中永士師明医師 「上あご折れて、ここまで頭まで行っているでしょ。顔全部。これが『命に別条がない』という状況なんですよ」 千葉さんの治療に携わった、秋田大学医学部附属病院の中永士師明医師です。 あごの骨が砕けるなど、口の周りを中心に大きなケガをした千葉さん。 退院するまで2か月半を要しました。 被害のほとんどが頭と顔面に集中する「クマ外傷」。 さらに、かまれた場所から感染症を引き起こし組織が壊死するなどして、治療やリハビリが長期間におよぶケースがあります。 中永医師は人的被害を減らすためには「クマ外傷」の実態を伝え、正しく理解してもらう必要があると考えています。 中永先生 「報道なんかで『クマに襲われた』『命に別状がない』となると、意外と軽傷と思ってしまわれるところがあるんですね 」「極端な場合、鼻が飛んでしまったという方もいますし」「目の方を傷ついてしまったら、 ひどい場合は失明してしまう」「鼻の方を傷ついてしまうと匂いを感じなくなる嗅覚障害という状態になります」「やはりその後の人生が変わってしまうというぐらい大きいところがあります」 クマに襲われてから8か月が経ったものの、今も治療が続いている千葉さん。 治療計画全体から見れば、まだ半分に満たないといいます。 千葉さん 「クマのばい菌によって壊死してしまった部分があって、そこを切除したために、そこを補わないと口が閉まらないんですよね。足りないっていうかそれの移植手術っていうのを前回と今回とでやるんですけど」 記者 「さらにその後に骨?」 千葉さん「今度は中の歯の方を治さないと」「食べられないのがこんなに続くっていうのはすごいですよね 」「それが奪われるっていうのはやはり大変なことですよね。人生半分損してるっていう。治したい、治したいですね 」 完治したら妻と大好きなラーメンを食べたいと話す千葉さん。 日常を取り戻すために前を向いて治療とリハビリに励んでいます。 相次ぐクマ被害をなくすために。 千葉さんが伝えたいこととは…。 千葉さん 「あんな短時間によくこれだけ傷つけたなって思うくらいで」「もっともっと恐れるべきですわ。 クマに対して恐れを持つべきですね。これだけの代償が待っているっていうのは、『出会ったらしょうがないよね』ってそんな簡単なものじゃない。それだけは言いたいですよね」 ♢♢♢♢♢ <田村アナ> ここからはクマの取材を続けている川口大介記者とお伝えします。 県内では今年度、クマによる被害者が死者を含めて5人確認されています。 取材で感じた課題などを教えてください。 <川口記者> VTRにもありましたが、クマによるけが=クマ外傷は当たり前に送ることができていた日常生活を一瞬にして奪う恐れがあります。 さらに治療、回復リハビリには長い年月を要することもあるということです。 今回貴重な証言をしていただいた千葉さんは、取材の3日後に3度目の入院して手術を受けたということです。 入院・通院のたびに仕事を休まなければならず、医療費の自己負担は数十万円にのぼっているといいます。 それでもまだ治療は計画の半分程度でしか終わっていない状態で、さらに1年近く治療とリハビリが続くということです。 また長年、クマ外傷の治療に携わっている秋田大学医学部付属病院の中永医師は「命に別条がない」という表現によって「クマによるけがが過小評価されている」と警鐘を鳴らしています。 悲惨な人身被害を減らすために、クマによるけがの恐ろしさを再認識する必要があります。 そして相次ぐクマの出没を「災害」ととらえ「クマに出会わないための装備や心構え」に加え、こちらの映像のように「頭や顔を守る=ダメージを極力減らすための防御姿勢」などを知識として備える必要があると感じます。 <田村アナ> ここまでクマによるけが=「クマ外傷」について川口大介記者とお伝えしました。 ※6月25日午後6時15分のABS news every.でお伝えします

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