なぜ人は"沼る"のか【行動経済学×脳科学】
ガチャに課金する指。 既読のつかない画面を、何度も開く手。 たまにしか優しくない相手を、何年も待つ心。 対象はまるで違う。だが、これらの沼にはひとつだけ共通点がある。 どれも、毎回は報われない。 報われないなら、人は離れていくはずだ。 ところが人間は、そうしない。 2003年、サルの脳を覗いた実験が、その理由を突きつけた。 脳の快楽物質が最も強く出るのは、報酬が手に入った瞬間ではない。 手に入るかどうかが、ちょうど半々のときだった。 確実に手に入るものに、人は沼らない。 絶対に手に入らないものにも、沼らない。 沼るのは、届きそうで届かないものだけだ。 行動経済学と脳科学のデータから、この構造を解剖します。 〜チャプター〜 00:00 「沼る」という言葉がある 01:38 狂ったように押し続けたネズミ 03:28 脳が燃えるのは、五分五分のとき 06:00 その「惜しい」は、設計されている 08:53 愛ではない、仕組みだ 11:19 誰も設計していないのに、沼はある 13:21 「欲しい」と「好き」は、別の回路 15:54 まだ好きか、覚えているだけか 〜参考文献〜 スキナー(1938ほか)「たまにしか報酬が出ない仕組みほど、行動は強く消えにくくなる――変動比率強化と消去抵抗」 フィオリロ・トブラー・シュルツ(2003)「ドーパミンは報酬ではなく不確実性に反応し、勝率50%で最大になる」『Science』 クラーク ほか(2009)「惜しい外れは、脳の中では勝ちとして処理され、ギャンブルへの意欲を高める」『Neuron』 チェイス & クラーク(2010)「ギャンブルの問題が深刻な人ほど、惜しい外れへの脳の反応が強い」『Journal of Neuroscience』 ダットン & ペインター(1981)「力の不均衡と断続的な優しさが、被害者と加害者の間に強い絆を生む――外傷性の絆」『Victimology』 ベリッジ & ロビンソン(1998ほか)「"欲しい"と"好き"は脳の別回路であり、依存が深まるほど欲しいは増え、好きは減る」 ※ ここで紹介するのは、あくまで統計的な傾向であり、個々人の性質を断定するものではありません。 しずかな合理 一人ひとりは正しく振る舞っているのに、なぜ全体だけが壊れていくのか。 身近な現象の底にある構造を、心理学・脳科学・行動経済学のデータから解剖しています。 #沼 #ドーパミン #依存 #心理学 #行動心理学 #社会心理学 #進化心理学 #神経科学 #行動経済学 #しずかな合理

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